秋田大生と冨岡商店

2024年3月27日 秋田魁新報に掲載されました。

茶筒の形状活かし / 樺細工カレンダー

秋田大の学生5人と仙北市の樺(かば)細工製造販売・冨岡商店(冨岡浩樹社長)は、協力して開発した樺細工のカレンダーを発表した。茶筒をアレンジした回転式のカレンダーで、写真フレームがセットになっている。学生のデザインを同社が形にした。市は4月からふるさと納税の返礼品に加える予定。


カレンダーはオーソドックスな無地皮の茶筒のふたを3分割してリング状にし、外側に月日の数字を彫り込んだ。リングを回して表示を調整する。黒檀(こくたん)の写真フレームには角館の桜をイメージした花の柄があしらわれ、木口には無地皮が施されている。


正しく手入れすれば100年以上使えるのが樺細工。江戸時代から続く角館の樺細工の伝統や家族で代々受け継いで使うことを意識し、「万年カレンダー 遙か」と名付けた。月日を刻むだけでなく、写真を飾ることで家族の歴史も刻まれることをコンセプトとした。


デザインしたのは教育文化学部地域文化学科2年の石崎里歩さん、遠藤麻依さん、佐々木琴美さん、進藤彩さん、横山友里江さん。5人は1年時に地域学基礎の授業での取り組みとして、伝統的工芸品の地域ブランディングを選択。樺細工をテーマとして扱い、2022年8月から製品開発をスタートした。


同年11月に秋田市で開かれた第39回伝統的工芸品月間国民会議全国大会(KOUGEI EXPO in AKITA)の関連イベントでカレンダーのアイデアを発表。当時は白っぽい木の写真フレームと棒状のカレンダーだったが、その後「現代の生活様式にはシックな色がマッチする」と考えて濃い色味とし、樺細工を象徴する茶筒の形状を生かして回転式にした。


5人は単位取得して授業を終えた後も「形になるところまで続けたい」と自主的に開発に携わり、詳細なデザインについて冨岡社長との打ち合わせを重ねてきた。


仙北市役所角館庁舎で13日に開かれた発表会には5人のほか、冨岡社長や田口知明市長、学生を指導した秋田大産学連携推進機構の伊藤慎一准教授らが出席した。田口市長は「樺細工は仙北市の誇り。素晴らしい製品を開発してくれて感謝している」とあいさつ。冨岡社長は「新しい発想を楽しみながら作った」と述べた。


佐々木さんは「自分たちがデザインした製品が家庭に置かれるとうれしい。カレンダーと写真で月日の流れを感じてもらいたい」と話した。


市販の予定はなく、ふるさと納税の返礼品としてのみ扱う。冨岡社長によると、仮に価格をつけるとすれば2万7500円相当だという。

(大原進太郎)


■海外販売体験語る  

2023年11月29日 秋田魁新報に掲載されました。

「樺細工」手がける冨岡さん 海外販売、体験語る 秋田市でセミナー


海外への販路拡大を検討する企業を対象とした「海外展開セミナー」が、秋田市のイヤタカで開かれた。参加者が商品のブランディングなどについて学んだ。


伝統工芸品「樺細工」の製造・販売を手がける冨岡商店(大仙市)の2代目冨岡浩樹代表(61)が講演。1970年に創業した同社は現代に合った製品を提供しようと2008年に理念を刷新。「広く世界に発信」「使い続ける豊かさ」など四つを掲げた。


11年の東日本大震災を機に海外進出を本格化させ、フランスの高級ブランドからの受注や海外のインテリアにもなじむづランド設立など、販路開拓に成功。冨岡代表は、「企業理念に導かれて海外進出ができた」とし、伝統工芸品の歴史や希少性を核として現代に合わせた商品開発を進める必要性を強調した。

セミナーは実体験を基に海外進出のノウハウを学ぶ場として9日に開催…。(石川彩乃)

経営随想寄稿  (一財)秋田経済研究所

Akita Economic Report 2023年9月号に寄稿させていただきました。

●伝統的工芸品「樺細工」問屋を引き継いで

 私どもが扱っております「樺細工」は、江戸時代、「武士の内職」として角館を治めていた佐竹北家によって育まれたことは、秋田県人の皆さまにはご存知のことだと思います。創業期から20年を経たころには、江戸の鳥越様(佐竹壱岐守)の献上品となって、それがきっかけで愛用者も増えていきました。そして明治時代になり、武士は禄を失い、内職から本職となったことにより、更なる研鑽がなされ、産地も形成されていくことになります。

 しかしながら、伝統的工芸品にありがちな、つまり伝統的であることが現代生活とマッチしなくなってしまい、結果的に「売れない」という事態を招くことになります。当社は、1970年、角館町東勝楽丁にあった菊地商店から事業承継した私の父が、今の大仙市で創業しました。2005年、私は二代目として父から事業を引き継いだのですが、上に示したように、引き継いだころから下降線をたどることになったのです。

●「理念」をつくる

 2008年、大学のゼミOB会が東京であり、先輩にあたる青木昌城氏と再会しました。青木氏は、株式会社帝国ホテルの経営企画畑で、社内コンサルタントを長く務め、その後シティグループの投資銀行部門に転職され、旅館やホテル、スキー場などの自己勘定投資による事業再生責任者として活躍された人物です。現在はコンサルタントとして独立していながら、日本国際観光学会の観光マネジメント研究部会の部会長でもあります。また、大学在学中に外務省派遣員として、在エジプト日本国大使館に勤務された経歴があり、後輩たちから一目置かれた存在でした。

 私は、藁にもすがる想いから氏に窮状を伝えたところ、「事業継承した直後の丁度良いタイミングだから、企業理念を練り直してはいかがか」という提案をもらいました。それで、すぐに氏と夜な夜なメールでのやり取りがはじまったのです。このときの私は、「企業理念なんかを刷新しても、会社の経営状態が刷新されるはずはない」という穿った感覚もありましたが、氏は大真面目に、「企業経営に最も重要なことでも、滅多に理念を書き換えることはしないので大チャンスだ」と励ましてくれました。

 氏への宿題提出も、日常業務をしながらの身には厳しかったのですが、更に厳しい指摘の数々に、正直、困惑・辟易したのも事実です。「ただの作文をしているのではない。経営者の哲学を表現するのだから、練りに練らないといけない」とのことで、一言一句の定義の説明を辞書にもない深いところまで要求されたのでした。

 こうして、着手からほぼ毎日のやりとりで、4ヶ月ほど経過したときに「良いですね!」とようやくにして合格をいただきました。そのとき、「合気道の達人だから耐えられた(当時五段、現在六段)」とも評価され、こそばゆい気持ちになりました。

 思えばこのことが、冨岡商店が今あるすべてのはじまりなのです。

●どんな経営理念なのか 

 冨岡商店の経営理念を、以下のようにしました。 

わたしたち冨岡商店は、国指定伝統的工芸品である樺細工の製造元として、世界に類を見ない一属一種ともいうべきクラフトの価値を国内は元より広く世界に発信し、「一生に一つ」使い続ける豊かさを通じて、人々の潤いある生活に貢献できる企業を目指します。

 さらに、事業領域は、次のようになります。

樺細工を柱に、クラフト全般においても、使い続ける豊さの提案となるものを企画、創作し、新人作家の作品発掘も含め、洗練された、それでいて親しみのあるギャラリー的店舗による発信

 経営理念の中で特にこだわったのは、以下の4点でした。詳しくは当社HPにても解説していますので、本稿では「想い」について触れます。

1.一属一種             2.広く世界に発信

3.人々の潤いある生活に貢献     4.使い続ける豊さ

 世界に一つ、秋田県にしかない樺細工の独自性を、国内はもとより世界に発信するのは、事業者としての義務であります。難しいのは後ろの2点で、まず「人々の潤いある生活とは何か?」をどっぷり考えたのです。ここでは、伝統的工芸品の中にある時代性を超越するという意味も込められていて、どんな未来の生活であれ、それは精神豊かな人間の生活なのだという想いです。さらに、「使い続ける豊かさ」とは、家族の時間的継続性を指すだけでなく、私どもの職人がいる限り修復可能という継続性も、「使い捨ての豊かさ」への反語としての「豊かさ」としました。

 事業領域の、「クラフト全般」とは、冨岡商店の理念に合致した「取り扱い商品全部」という意味です。

 終わってみれば、あっさりした文章のようですが、私なりの想いを表現できました。なお、青木氏からは、私の相談の原点に、「売りたい」ではなく、「樺細工の魅力をどのように伝えることができるのか?」があり、それが最も重要な出発点だったと指摘され、自分自身で振り返って納得したのでした。   
  

●表現者として

 理念づくりの4ヶ月間は、私にとっては「言葉の訓練」でもありました。

「人間は考える葦である」という言葉が残っている通り、何語であれ、人間は言葉で思考する唯一の動物です。頭の中で考えるときに使う言語を「母語」というのは、多数の言語を普通に使いこなしているヨーロッパ大陸の人たちからしたら、そうやって区別しないと自分が何者なのかも不明になってしまうからだと、ヨーロッパ人とつき合うようになって、改めて思うようになりました。この点で、外国語が苦手な日本人は、日本語しか使える言語がないので、迷いがなく、案外とラッキーではないかとも思えます。

 「冨岡商店とは何者か?」を深く考えた経験は、社長である私にとてつもないメリットを与えてくれました。それは、私が私の言葉で、自分の会社の説明を外部の他人ばかりか、内部の社員たちにも、「理路整然」とできるようになったことです。

 「社長だから自社の何かは説明できて当たり前」、ではないのです。

 理念が完成してから不思議なことに、新聞やテレビの取材が相次いだのですが、秋田県人らしく普段は口下手な私でも、「立て板に水」のような説明ができることに、取材陣が驚いただけなく、冨岡商店の目指すものを理解し、そしてファンになっていただけることにも気づいたのです。

 ところで、世界のビジネスの目は、常にリサーチしてパートナーを探していることをご存じでしょうか?当時の私はまったく知りませんでした。2012年、初めての海外見本市出展で、有名メゾンからオファーをいただいたのです。「こんな小さなメーカーになぜ?」と、呆気に取られました。伝統産業でも、常に新しい素材を探しています。そうしないと、博物館行きとなってしまうからです。後に、山形鋳物の増田尚紀氏が、著書に「伝統という言葉の響きは、今の私たちには保守的な意味合いを持つが、その時代において最高のアバンギャルドなものであったことを改めて認識しておかなければ、21世紀への伝統工芸の扉は開かれない」と著していますが、正にこれだと思いました。

 このことがきっかけで、当社の樺細工が、フランスだけでなくヨーロッパ大陸への進出となったのです。今ではヨーロッパの複数の伝統工芸とコラボレーションしています。

 Serdaneli. paris社(バスルーム金具のオートクチュール)のパートナー企業となったことも、当然に、理念からだったことは言うまでもありません。私が社長として、自社の表現者になれたことが世界に通じたという意味にもなりました。そして、こちらから当てもなくヨーロッパに出ていく、ということではなくて、あちらから呼び込まれたことも、振り返れば理念を作ったからのことだったのです。

●今という時代に

 大袈裟かもしれませんが、私は昨年秋に発表された、2022年ノーベル物理学賞に驚愕しました。「量子もつれの実験による証明」がその受賞理由です。バリバリの文系を自負しておりますので、早とちりや勘違いがあるかもしれませんが、「人間の考え方が根底から変わる」と思ったことが、その驚愕の理由です。

 約400年前にヨーロッパでみられた、科学と精神世界(たとえばキリスト教)の分離による科学優位(一方は迷信とする)の時代が終わって、科学と精神世界は量子でつながることになりました。これで、文系の最高峰、哲学の世界は、過去の常識を大転換させていますし、仏教の『般若心経』にある「色即是空 空即是色」の、「空」の概念が宇宙そのものであると、すでに先端の多くの科学者たちが認めています。

 私たちの人生は、ご先祖様たち総てを含め、宇宙の壁に情報として記録されていて、これを東大が世界に先駆けて解読を試みて研究しています。要は、一度だけの人生が死で消えるのではなくて、記録され、未来のいつかは再現可能という話になってきているのです。すると、恥ずかしい人生よりも充実した人生に価値があることを、誰もが認識することが確定した、と言っても過言ではありません。

 あたかも、A.I.とか、少子とかと、何かと不安を煽られている気がする昨今ですが、もう少し考えれば、自分を自分で哲学しないといけない時代になったと思われます。媒体としては小さな樺細工ではありますが、時空を超えた価値を提供しつづける冨岡商店の理念を、これからもずっと実現すべく、日々努めていきたいと思っております。

■こだわりの逸品を全国展開 特産品EC

日本ネット経済新聞で記事にしていただきました。

【こだわりの逸品を全国展開 特産品EC】第428回 <樺細工専門ECサイト「冨岡商店」> SDGsに貢献した物作りで販路拡大 (2023年7月20日号)



こちらをご覧ください。

https://www.bci.co.jp/netkeizai/serial/4522

樺細工の原料は山桜の樹皮で、パルプ材として伐採計画のある木の副産物を使用している。サステナブルなものづくりであることが大きな特徴です。

「日本のティッシュの75%は東北の広葉樹からできています。パルプを作るための原料として伐採していますが、広葉樹は伐採すると萌芽(ほうが)し、50年のサイクルで再び伐採可能となります。樺細工に使う樹皮は、伐採前に木に登って採取した物であり、SDGsに貢献しているものづくりなのです。この点をアピールし、エシカル消費を促したいと思っています」...

■樺細工 ブラジルで注目

2023年5月17日 秋田さきがけ新報に掲載されました。

 

仙北市角館町の伝統工芸品・樺細工が、ブラジル・サンパウロにある日本文化の発信拠点施設「ジャパン・ハウス」で販売され、現地の注目を集めている。角館の製造販売業者は「仙北市に興味を持ち、足を運んでもらうきっかけになればいい」と期待を寄せる。

 

ジャパン・ハウスは日本の多様な魅力を発信してファンを増やそうと、外務省が2017年から翌年にかけてサンパウロと英ロンドン、米ロサンゼルスに開設。日本食レストランやカフェを備え、日本酒、技術力や文化を感じられる製品を扱うショップなどが入る。

サンパウロのハウスは建築家の隈研吾氏が設計し、ヒノキや和紙を使って独創的なデザインが特徴。目抜き通りにあって注目度が高く、コロナ前の19年には年間66万人が訪れた。

その中のショップでは各地の伝統工芸品など厳選された商品を販売。ここに今年1月から、樺細工の茶筒と茶さじ、一輪挿しが加わった。店員が原材料や製法などの特徴を説明すると、訪れた人は手に取って興味深そうに眺めていくという。

樺細工を扱うようになったのは、サンパウロのハウスのエリック・クルーグ館長が昨年7月に仙北市を訪ねたのがきっかけ。樺細工を製造販売する冨岡商店が角館の伝統文化を伝えるため、武家屋敷通りの店舗「アート&クラフト香月」で製品を紹介した。冨岡浩樹社長(60)は「使い込めば経年変化でより美しいつやが出る」などと説明、名刺入れをプレゼントした。

19年にロンドンのジャパン・ハウスを訪れ、日本文化の魅力を伝える発信力の高さに感銘を受けた冨岡社長。当時は商談に至らなったが、時を経て訪れたチャンスに「樺細工を置いてもらえないか」と館長に打診した。

樺細工の江戸時代から続く伝統の技、自然と共生してきた歴史に興味を持ち、製品を気に入った館長はこれを快諾。ハウス内のショップとの間をつないだことで、今年から取り扱ってもらえることになった。

冨岡商店では、樺細工を広く世界に発信することを社の理念に掲げ、コーヒー入れやパスタケースなど海外向け商品を10カ国以上で販売してきた。ブラジルともつながりができ、冨岡社長は「日本と言えば桜のイメージがあると思う。樺細工は桜の樹皮から作られており、ブラジルでもこれぞ日本と感じてもらえると思う」と話した。(大原進太郎)

 

■AKT秋田テレビ 【キャッチアップ・マリマリプラス】で冨岡商店が紹介されます

佐藤奈都美アナウンサーが「カワイイを探せ」をテーマにご来店、一昨日20日の撮影でした。前触れがなく本当にビックリの嬉しい1日となりました。

さて、佐藤アナの「カワイイ」は一体何だったのでしょう。乞うご期待!

≪放送日≫

AKT秋田テレビ

【キャッチアップ・マリマリプラス】9月23日(金)午前9:55-11:19

■今春の掲載情報

冨岡商店・本店併設アート&クラフト香月の情報が掲載されました。


・秋田さきがけ コミュニティー マガジン ふるさとのゆとり生活誌 郷 きょう 季節誌 春号

…11ページ


・Town Joho 2022.5 No. 447 秋田のおでかけ再発見/医療Navi 特大号/母の日 フラワーギフト

…52ページ


・月刊あっぷる 2022年4月号 あきた街NAVI 秋田さくら名所巡り
 春の美味しいお弁当 人気店の春Sweets! 今ドキAKITAの工芸品 あきたのココが日本イチ!

… 47ページ

セレクトショップ 香月コレクション(田沢湖角館観光協会)

 
https://tazawako-kakunodate.com/ja/shops/263


■素敵なものが沢山あります(グルコミ)
 https://rubese.net/gurucomi001/?id=4107179


■手しごとで暮らしに笑顔を(秋田の手仕事、暮らしごと)

http://idsc-akita.net/teshigotokurashigoto/teshigoto_tomioka.html


■伝統にならったニュースタンダードな樺細工に注目(JR東日本 秋田支社 ココロに出会う旅「Meet the Heart」)

 https://www.jreast.co.jp/akita/meettheheart/column/article05.html


■メーカーとして、ショップとして。この地の伝統を広める仕事。(都道府県型.jp)

 https://xn--xgs57ni6vr9wjya.jp/interview/akita.html


■「ほしい!」を見つける ずっと愛せる東北。vol.3-1(ルチカ)

 https://luccica-sendai.jp/life/11417/


■樺細工、仏デザイナーとコラボで海外へ販路開拓(朝日新聞)

 https://www.asahi.com/articles/ASLBK34BMLBKUBUB002.html


■樺細工 新たな需要開拓 冨岡商店やポーラ、装飾品開発(日本経済新聞)

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35780630W8A920C1L01000/


■石と皮革の文化圏で異彩を放つ桜の樹皮のテーブルウェア(日本政策金融公庫)

 https://www.jfc.go.jp/n/finance/keiei/jirei/tomiokashoten/


■樺細工の美を角館から世界へ (公益財団法人あきた企業活性化センター)

 https://www.bic-akita.or.jp/magazine/394/05jirei01.pdf